飲食店を始めたい人から相談がありました。

ZINEやうやうの人生相談で飲食店に関する相談がありました。回答してきたので、紹介します。

30代・男性
鹿屋で飲食店を開業したいと思っているのですが、踏み出すことができません。どうすればいいですか?また、具体的には開業準備としてどのようなことをすればいいか教えてください。

回答

「ちょっとの勇気」と「実印」

私は「生うどんつちや」といううどん屋を2008年から経営しています。開業前から多くの経験をしてきました。私の経験や考えがすべてではないですが、もし参考になるようでしたら幸いです。

まず、踏み出すことができないということですが、飲食店の開業には二つのことがあれば、誰にでもできます。それは「ちょっとの勇気」と「実印」です。

これはリスクを取れるかどうかということですが、はっきり言ってそれは個人によってぜんぜん違います。例えば、イーロン・マスクは人生が数回にわたって破壊されてもおかしくないようなリスクを何度かとっていますが、マスクの数万分の一の規模とはいえ、大多数の人間が会社に就職しているのに、自分だけ店を始めるような人間は基本的に楽観的で、リスクを気にしていないところがあります。私が知っている多くの飲食店の経営者はリスクを果敢に取っていくようなタイプが多いように思います。そういう意味では大胆不敵な人が開業できるのかもしれません。

多くの優秀な経営者はリスクを減らして、安定的な利益をうむ仕組みをつくることを考えるものです。しかし、一代で商売を成功に導くような人は、一点集中でバランスを欠いた資本の投入をしていたりします。そして、不思議なものでこういう人がうまくいくものです。

それと同時に、はじめてみてうまくいかないときは変化が重要です。商売はなにが成功するか誰にもわからないので、当初に想定していたことがうまくいかないときは、手当たり次第に別なことに手を付けて、うまくいったらそれに集中という人も多いです。多くの失敗した人は、誰の記憶にも残らないので結果的にそう見えるだけですが、現状で大繫盛している飲食店が開店当初は別のメニューを出していた、別の店舗で営業していたなんて話はたくさんあります。想定してた通りになるなんてことはありません。頑固な職人タイプの経営者は頭が固く、変化できず終わってしまう場合も多いです。(おそらく私はこっちのタイプの人間です。)

「飲食店経営は社会保障」

飲食業は産業別に見てもどこよりも収入が低く、基本的に儲かる商売ではありません。少し話はそれますが、韓国ドラマを見る人は、韓国で小さな屋台や店をしている年輩の人たちが多く登場することに気づくと思います。韓国は社会保障が日本のように整備されていないこともあり、定年後に小さな商売を始める人が多いからです。ここからわかるのは、「飲食店経営は社会保障」だということです。

日本でも数年前から脱サラして蕎麦屋をはじめるという人たちが増えました。このような人たちの多くは死ぬまでこの商売を続けるつもりで始めています。まさに「飲食店経営は社会保障」なのです。(脱サラからの飲食店はかなり、いばらの道なので、いろいろと工夫が必要です・・・)

この前提でいくと重要なのはその人の人間性です。急にあやしいアドバイスになってきましたが、考えてみてください。飲食店は同じ人に長期間にわたって応援してもらう必要があります。そうなると結局は人間性が最も重要になってくるのです。

とにかく飲食店は人生をかけた長期戦なので、(誰しも人生は途中いろいろとあるものですが)結局は人間性が最後はものを言います。そして、それは商売を始める前に決まっているというのが「不都合な真実」です。「建築、不動産関係の仕事をしている人には飲食店は無理」と断言する著名な飲食業経営者もいるほどです。

大きなシステム(会社、行政、マスコミ、医療、公共事業、補助金など)に依存してもいい思いができない時代になりつつあります。安定していると言われる職場での離職やメンタル不調の多さ、補助金関係の炎上リスクなどがそれを示しています。そうなると必然的に個人事業を選ぶ人がこれから増えるはずです。

飲食店は別に儲かりはしませんが、適正なリスクをとり人生をかけて真面目にやればきっとやっていけます。今はネットがあるので、個人でも創意工夫すればクリエイティブなことはできるし、個人はコストもかからないので持続性があり、軌道修正も簡単です。そして、なんと言っても上司がいません。これはまじで最高です。

次回はもう少し具体的にどんな準備をすれば良いのかを書きたいと思います。がんばってください。

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